潮騒

日記

8/22


このあいだ、夕飯にアボカドが出た。刻んだキャベツの上にスライスされたアボカドが乗っていた。今までわたしはアボカドが食べられなかった。いわゆる食わず嫌い。通称「森のバター」と呼ばれるそれは何の抵抗もなく箸で裂くことができる。「バター」と呼ばれるくらいだからさぞ濃厚な味がするのだろうと思っていた。わたしはバターが好きではないから(バターを入れて作ったお菓子は大好きだけどバターで炒めた物やバターそのものを食べるのは嫌い)、ずっと敬遠していた。アボカドとマグロの丼とか、アボカドを挟んだハンバーガーとか、わたしは一生食べられないだろうと思っていた。

ハンバーグとサラダが夕飯に出て、そのサラダに入っていた。ドレッシングがかけられていてちょっとおいしそう。肩こりに良いという情報を仕入れた母は初めて食卓にアボカドを出した。わたしは試しに食べてみることにした。箸でちょこっとだけ切って、口に入れた。 何の味もしなかった。少しの青臭さとドレッシングの味はあるけれど、それ以外は何の味もしない。濃厚な味なんて無くて、とろとろとした食感だけが残る。案外食べられるかもしれないと思った。ハンバーグと一緒に食べてみた。おいしかった。ハンバーグの味を全然邪魔しなかった。わたしはひとつ、食べられるものが増えた。食べられるものが増えるということは楽しみも増えるということ。いま1番食べたいのはアボカドとマグロの丼。絶対おいしいんだろう。「森のバター」と呼ぶのは、バター嫌いな人からすると食感よりも味のイメージが固定されるからやめたほうがいいと思った。