潮騒

日記

世界を止めて

 

 

先日、ザ・コレクターズの「世界を止めて」を聴いてからその衝撃が今も抜けない。

一見、甘ったるい恋愛ソングのようだけどじっくり聴いてみるとそうではないことがわかる。憶測にすぎないけれど、この歌詞に出てくる2人は周囲に知られてはいけない関係性、不倫か浮気か、はたまたお互いの年齢が離れているからこっそり付き合っているのか、クラスメイトだから友人たちに知られたくないのか、遠距離恋愛なのか様々な想像がふくらむ。

この歌詞の主人公は「世界を止めて」ほしいと神様に願うほどに「君」といっしょに居たいと思っている。胸をつかむ切ないフレーズの連続に、2人は離れ離れになってしまうんじゃないかという未来さえも想像させるけれど、この歌詞の良いところは、過去や結果を語らずに切ない瞬間や気持ちだけを語り、神様に願い、願っている最中で曲が終わるところだ。「このまま眠らせて ずっとずっと」と。出会い→思い出→終わりを描く曲ではなく、途中の曲、現在進行形の曲だ。そこに2人の永遠性を感じるし、触れあっている一瞬、「君」を見ているこの時間、ひたすら願う気持ちが重要で、神様がその後2人をどうしたかなんてことはこの曲のなかでは全然重要ではない。一瞬を切り取ったものだからいつまでも色あせずキラキラ輝いていて純粋に素敵だ。付き合っていなくても片思いだけの関係でも、こんなふうに思うこと誰でもあると思う。「愛してる」って言葉を一言も使わずにこれだけの表現ができるのもすごい。こんな曲が存在していたなんて知らなかった。知ることができてよかった。

 

 個人的にすごいと思ったのは「鼻でキスして笑って」というフレーズ。どう考えてもよく意味がわからない。キスに慣れていない2人が顔を交差させずに鼻がぶつかる形でキスしてしまって笑っているのかなと思ったけれど、冒頭で「そっと口づけかわして」と歌っているから慣れていないというわけではなさそう。「鼻にキスして笑って」ならわかる。わたしが何度か経験したものだから。このフレーズは、ボーカルの加藤さんが実際に経験したものだから書けたのではないかと思っている。

 

www.youtube.com