潮騒

日記

春の嵐

セットした髪の毛やメイクもすべてが無駄になった春の嵐
傘の裏側も濡れていて滴が垂れて頭皮を伝って顔を濡らしてきた
すべてが憎かった
家に居たかった
家に居たいと思ったときに、家に居られない状況も憎い
 
好きな常連のお客さんがいる
たぶん高校生の男の子なんだけれど、その子が来てしまった
雨で髪の毛がギシギシにきしんで、顔も湿気でテカっているところに来てしまった
失敗したなと思った  その子の前で最良の状態で居たかった
完璧にしたいと思う時間があることはとても重要  そこだけがゆっくりと過ぎていく
 
失敗した
そう思ってるのはわたしだけで、その子は全く気づきようもない
だからこそ、良い
知られない思いは知られない思いとして死んでいくほうがいい
年下の子と恋愛がどうとか考えているわけではない
恋い焦がれているわけでもない
ただ、来てくれるとうれしい
お釣りを渡せるのがうれしい
その子の買った本にカバーをかけられるよろこび