潮騒

日記

12/20

 

付き合って4年目になる恋人と同棲を始めて明日で1ヶ月が経とうとしている。

ここに引っ越してきて驚きと喧嘩の連続だった。

人を感知して灯りのつく照明、3台のGoogleアシスタント、49インチのテレビ、2台のモニターがついたパソコン、タイル式のカーペット、スチーム付きのヒーター、リビングソファとして使っている新幹線の座席、お風呂とトイレの換気扇機能、バルミューダのオーブントースター、コーヒーメーカー、T-fal電気ケトル

実家とは何もかもが違う便利な家電たち。便利で嬉しいと思う反面、ああ、私はずいぶんと遠いところに来てしまったんだなと寂しくなってしまった。ここには寒い朝に灯油タンクのスポイトをじゅこじゅこ鳴らす母の背中や、机から物を落としまくりアラームより先に起こす愛猫もいない。こたつの中に埋まったリモコンを時間かけて探すことも、照明から垂れ下がる紐を真っ暗い部屋のなか探すこともない。不便だな、しんどいなと感じていたことは実は豊かな光景を見せてくれていたのだと思った。私は灯油ストーブの静けさが好きだったし、どういうことをすれば物を落とされないかを考えるのが好きだったし、リモコンを探したり、照明の紐を探る感覚も好きだった。

 

新しいものや便利なものが大好きですぐ機械に頼る彼と、自分でやれる範囲(電気つけたりテレビつけたり)のことは自分でやるという考えを持つ私で度々衝突した。自分の常識だと思っていたことが相手には通用しないということを、身に染みて経験した1か月だった。これからはここが私の家になるんだ。彼とも、家族になるんだ。

彼との生活を好きになれますように。今いる場所を私の場所にできますように。