潮騒

日記

2019-01-01から1年間の記事一覧

12/6

好きだった男の夢を見たって何にも満たされやしない。愛されることも、愛することも叶わなかった男が出てくる夢なんて。なんで楽しそうにしてるの。どうして私がそいつと過ごした実際の時間より濃密で親密で、温かいの。どうして。夢なんて嫌いだ。いつだっ…

無題

数年前に書いた自作の詩のようなもの3点。 _____________________ 『結露』 街にも空にも海にもどこにも行けない言葉たちは、朝靄を吸い込んだ呼吸器のなかで結露して、静かにくちびるを濡らしている 『眠り』 だれもひろわない亡骸をそっとわたしだけがもっ…

11/03、11/04

11月3日と4日、彼といっしょに富士と沼津へ出かけた。富士の目当ては吉原商店街発祥の名物つけナポリタン。レトロな看板のコーヒーショップ「アドニス」に行くのは今回で2回目。つけナポリタンのデザートセットを注文。デザートはアフォガード、ミニモンブラ…

10/25

めずらしく晴れたある日。横断歩道を渡った先にある一軒家が、壊されていた。正確に言うと、家の外壁や柱は残されたまま、屋根の瓦がすべて剥がされ、雨戸なども取り払われ、家の中が剥きだしの状態になっていた。畳も剥がされて、狭い縁側のほうに厚く、ミ…

10/19

また雨が降っていた。街中の施設で入場無料で開かれていた展示場に寄った。 松村かおりさんの「一点を紡ぐ vol.2」。先週行った美術館に置かれていたフリーペーパーで知った展示会。清潔で狭い室内のなかに立てられた真白いボードに、釘と小さなクリップでと…

10/17

屋根のある自転車置き場に置いたのに、雨が横殴りに降ったのか自転車がぜんぶ濡れてしまっていて悲しかった。夜風はひんやりしていて、自転車を漕ぎながら息を吐くと、熱をおびた息が白く眼鏡のレンズを曇らせる。それがちょっと楽しかった。私はこんなにも…

10/14

昨日のこと。デート日だけどすることがなかったから地元の美術館で開催されている展示会に行った。小雨が降り、辺りは金木犀の甘い香りが漂っていて息をいっぱい吸い込んだ。傘に降る雨音が心地いい。殺人的な暑さだった夏とは違って今日は気温も空気も秋ら…

10/6

土曜日は彼の友達の家に寄って、飼っている犬と散歩をしに行った。夕方と夜。夕方では夕日が山肌を淡く染めていて綺麗だった。木々の葉っぱもまばらに色づいていてこれはもう秋かもしれない。夜は、小さなランプを持って道を照らしつつ歩いた。蜘蛛の巣にぶ…

6/20

毎日通る道の角に床屋がある。数年前は営業していてそこには暇そうにおじいさんが新聞を読んでいた。ある時、床屋は営業しなくなった。おじいさんの影も消えた。ずっと暗いままで、がらんとしている。ある真夏日、周りの建物は日に照らされ白くまぶしかった…

2/27

何を詰め込んでも、何を読んでも、何を見ていても、あまり楽しくない。美味しいものも、食べたら消える。全然楽しくないわけじゃなくて楽しいと思う自分もいるんだけど、心のどこかで本当に楽しいと思っているのだろうかと思う自分もいる。最近は朝になると…

2/9

朝に自転車を漕いでいた。道にいくつか立っている街灯のひとつにまだ灯りがついていて、青空に取り残された月のようだった。そういう月のことを「残月」と言うらしい。じゃああれは残灯だ。雲が均等に空を染めていたから青空ではなかったけれど。 お見舞いに…

2/2

新しく買った手帳に空白の日をつくることなく、1月の日記を埋めることができた。青く薄く滲んだミミズみたいな字がのたうちまわる。ただそれだけに熱を費やしたような1月だった。もう2月になってしまった。 去年から読み進めていたナボコフの「ロリータ」を…