潮騒

日記

10/19

 

また雨が降っていた。街中の施設で入場無料で開かれていた展示場に寄った。

松村かおりさんの「一点を紡ぐ vol.2」。先週行った美術館に置かれていたフリーペーパーで知った展示会。清潔で狭い室内のなかに立てられた真白いボードに、釘と小さなクリップでとめて飾られていた絵は複雑に色と点が重なっていて、綺麗だった。余白さえも良かった。松村さんは展示場に居ながら、リアルタイムで作品を描いて、それをボードに貼り付けていた。すごい。もっとお話を聞けばよかったけど、人見知りが災いして何も聞けなかった。撮影がOKだったから撮らせていただきました。

展示場を出て、パフェ専門のカフェで休憩。フルーツパフェを注文。彼が、趣味の写真撮影で時間をかけるものだから、アイスクリームがすこし溶けた。外に出ると雨が止んでいて空が青くなっていた。涼しい風が吹いていた。親子連れも「空が青いよ」と話し合っていた。すぐ近くにある古本屋に寄った。こじんまりとしていて、中に入ると外の世界と断絶されたような心地になる静かな空間。そこはとてもゆったりと時間が流れていて、知らない本を一冊一冊抜き取ってはパラパラとめくり、夢中になる。池田晶子の本が気になったけど、読み終わっていない本たちのことを考えると申し訳ないので (こういう申し訳なさはどこから来る感情なのか) 新しい本を買うのはやめた。彼は退屈そうにしていた。夜のドライブ。また雨が降ってきた。今度は霧雨だった。雨粒が、点描のように細かくフロントガラスに降り落ちて、綺麗に視界を埋めた。彼の服の柔軟剤の匂いがした。腕をからめて、やわらかい彼の肩に頭をかたむけた。運転中なのに構わず。オレンジ色の道路照明灯に照らされながら、車内では「月の歌」が流れていた。なんだか切ない、でもずっと味わっていたい甘さ。じわじわと浸透していく気持ち。わざと遠回りして帰った。

 

 

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