潮騒

日記

10/1

 

今回の台風で初めて身の危険を感じた。今までニュースでしか見たことのない、家が倒れたり潰れたりということが私の家にも起きるかもしれないと本気で覚悟した。それくらいに酷い雨と風で、家も揺れた。小さい地震がずっと続いてる感じ。怖すぎる。衣類やタオルや化粧品をリュックに詰めて横になったけどなかなか眠れなくてつらかった。私を抱きしめてほしいと思った。そうすれば安心して眠れる気がした。結局2時間くらいしてようやく眠れた。朝になると嘘みたいに晴れて、金木犀はすべて散った。いつもと何かが違うと不思議だった。フォロワーさんのつぶやきで気づいた。金木犀の香りがなくなったこと。清々しいくらいになくなった。

洗濯物を干して、掃除をして、読書をして、吉井ロビンソンのドキュメンタリーDVDを観た。吉井和哉というアーティストは全く手が届かないところに居るのに、届いてしまいそうな錯覚に陥る。少しも近づいてはいないのに。もがき苦しむ背中に触れるような気がしてしまうよ。ソロデビュー15周年の日。

そのあと、イエローモンキーの新曲「天道虫」の情報が流れてきた。ラジオアプリをダウンロードして視聴。今はサラッと聴くだけでいいや。歌詞の全貌も分かったけど、聴き込むのはCDを買ってから。私の大好物な骨太ギラギラロック。いつだって新しい方を向いているね。

 

 

at the BLACK HOLE (初回生産限定盤)

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9/30

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香りの博物館でやってるコーヒー展に行った。様々なコーヒーの香りを嗅いだ。ミルの体験もした。いろんな人が回すからレバーが少しズレていてうまく回らなかった。ゴリゴリとした音が響いて、焙煎豆が粉々になって渦になって落ちていく。

空っぽのゴミが綺麗に展示してあって感動した。

 

コーヒー以外にもマスクメロンやアイスクリームなどの匂いが嗅げる部屋では、モニターに映る風船に触れると風船がはじけて、噴射口から香りの爆弾が弾け飛ぶという謎にお金をかけたしくみの部屋。いきなりすぎるから鼻に直に吹きつけられて激しくむせた。

 

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風船に触れてもなかなかはじけなくてすごく怖かった。

 

 

 

9/29

 

金木犀の香りが街中を包んでいる。台風ですべて散ってしまうのかと思うと悲しい。

あんなに小さい花なのにどうしてあれだけの香りを放てるのか。

きのうはギリギリ私の家にも月明かりが届いた。きょうは雨。

 

CDをパソコンに取り込んでiPhoneに同期させる作業を終わらせて満足。ニルヴァーナキリンジと吉井ファンクと吉井カズボーンと米津玄師。

音楽を聴くことと読書をするくらいしかしていない。キリンジを聴いて詩を書きたくなった。言葉が豊かで、いろいろふくらんでいく。なにかを表現したくなる。いつだって始められる。紙とペンはたくさんあるから。

 

甘いものばかり食べて、からだはすぐに疲れてしまう。

9/21

 

夢をよくみる。信じられないくらいに変な夢ばかりを見る。たった6時間の睡眠時間のあいだに3つくらい見るから、夢日記に書くのが面倒になって覚えていても書かずに結局2日で内容を忘れる。他の人は夢をどれくらい見るのだろう。

夢の中のほうが現実世界よりも充実している。

今は小川洋子の「ミーナの行進」という本を読んでいるんだけど、物語を書くことで、外に行けない喘息持ちのミーナは行進しているというような描写があって、わたしの場合は夢を見て漂うことが「行進」の手段かもしれないと思った。わたしの場合はただの引きこもりだけど。

でも最近はよく小学生の頃の同級生がこれでもかってくらいに登場していて正直うんざりしている。そろそろエロい吉井和哉が出てこないとメンタルの採算が取れない。

 

吉井和哉といえば、今日は日本カメラの10月号を買った。表紙は青緑の背景に花を加えた吉井和哉という、言葉だけだと何のイメージも浮かばないと思うけど、これが表紙。

 

日本カメラ 2018年 10 月号 [雑誌]

 

やばすぎて漏らすかと思いました。

吉井和哉が表紙というだけで、ただのカメラ雑誌がポルノ雑誌みたいな妖しさを漂わせている。この花もなかなかに妖しい。色気と妖気。

これがタンポポとかだったらこんなにエロくないかもと思ったけど、たぶんタンポポでもエロく写してしまうのが吉井和哉という男。

 

9/21

 

月1の週間でメンタルとホルモンバランスをやられて貧血になり気分が落ち込みまくっている。

自然や生き物は人間の暮らしを支えたり豊かにするけれど、人間が、自然や生き物を支えたり豊かにすることはないんだよなと。絶滅危惧種の動物を保護したりするのは命を守るという面で尊いことだけど、絶滅してしまうのはそもそも生活圏を奪ってる私たちのせいなんじゃないか?と感じるし(そういう理由じゃない生き物もいるだろう)、自然や生き物がいなくなったら私たちは困るけれど、人間がいなくなっても自然や生き物はなんも困らない。困るのはせいぜい家で飼ってるペットくらいのもの。野生として生きてこなかった、私たちがそうさせなかったペットたちは環境に適応できず、主人の帰りをただ待つのみ。それくらい。なんで生きてるの私。

と帰り道はそのことばかりが頭をめぐり、支配していた。それくらい落ち込んで今は腰痛。私、何かしたんでしょうか。死にたくはないけど、消えたくはなる。たまに。特に思想はない。お腹がすいて、カップ麺を食べた。

 

朝ドラを観ながらぶつぶつと文句を言う女になるとは思わなかった。

9/2 , 9/3

 

誕生日に彼と伊豆へ旅行に行った。恋人岬に行って、近くのホテルに泊まって、翌日は三島でオムライスを食べるというコース。電車で行こうか迷ったけれど結局彼の車で向かった。イエローモンキーのライブDVDを流してくれて、それを見つつゆっくり車は進んだ。海や、潮風や、灰色の古い建物や、パステルピンクやパステルパープルの古い旅館などにこころが刺激される。謎の配色。

 

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空は濃い雨雲を抱えて、途中で雨が降り出した。恋人岬で歩くの大変になるだろうなと憂鬱になっていたら、着いた時には晴れだした。

 

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日射しが雲間からのぞいて、光りのはしごがかかっていた。とても穏やかで波は立っていなかった。私たち以外にも恋人同士や、男友達同士で来ている人もいたし、バスツアーで訪れたお年寄り達もいた。とても景色が綺麗だけれど、鐘を鳴らすスポットやハート型に置かれた小銭が薄ら寒い雰囲気を醸し出していて、味があるなと思った。

鐘を鳴らすスポットに行くには階段のない急で小さな下り坂や上り坂を登って、長い階段を上がってようやくたどり着く。距離にすると短いと思うのだけど、歩いてる最中はいつ着くのだろうと息を切らして歩き、疲れてしまった(翌日筋肉痛になった)。

辿り着いた場所は絶景で、人気の観光地なのも頷けた。この景色に辿り着くまでの道のりだったんだとすら思えた。晴れてなかったら最悪だった。ちゃんと鐘を鳴らした。うるさかった。3回も鳴らさないといけない。

恋人岬で海を見に行く前に売店で恋人証明書みたいなものを発行してもらった。薄ら寒いアイテム第2弾。結婚するとここの売店から何かもらえるらしい。発行するために必要な書類を書く机の周りには様々な恋人たちの記念撮影の写真や、名前が書き込まれていて、もはやホラー、お化け屋敷、怨念の地だった。恋人岬に来た恋人と別れて、新しくできた恋人とまた恋人岬に訪れて名前を書き込んで、でも元カレ(元カノ)の名前も古いページには刻まれている(そういう人いそう)。蓄積した思い出と名前と想いが小さな狭い売店に漂っている気がしてちょっと寒かった。

その売店には猫の店長がいた。らぶニャンって言う名前らしい。店長はとてものっそりしていて穏やかなオスの猫だった。中にいるより外に出たいタイプの猫だった。気ままで自由で、みんなの人気者だった。

 

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人懐こいけれど、飽きるとすぐにどこか行ってしまう。どこの家でも猫は性格が似ている。毛並みやお尻の感じからして年をとっていそうだった。いつまでも元気でね。

 

チェックインの時間になりホテルの中に入ると中は南国風の雰囲気だった。木でできたカウンター、アロハシャツの店員さん、カウンターの横には南国風のワンピース(部屋着)がハンガーにかかって並んでいた。雰囲気とは違い、店員さんは静かで落ち着いた人だった。ディナーは必ず18時に間に合うように来てほしいということで部屋に案内され、15分足らずでディナーの場所へ。

ディナーを食べに来ていたお客は私たちと中年の夫婦一組だけだった。用意されたテーブルにはフォークとナイフが何本も並んでいて不思議だったけれど、運ばれてくる料理を食べ進めるごとに納得がいった。外から順にフォークやナイフを使うということを。よく見ると同じようなナイフでも魚料理の時と肉料理の時では刃先が微妙に違った。ひとつ勉強になった。

料理は、鯛やマグロのお刺身、ホタテとエビの前菜(エビがとてもねっとりしていて濃厚)、かぼちゃのポタージュ、パン、カレイのバジルソースがけ(初めてカレイを食べた)、ヒレ肉のステーキ、マンゴーのクレープ(アイスクリーム添え)だった。

お昼ご飯はおにぎりで済ませていたからかこれだけの量を食べきることができた。ひとつひとつがとても美味しかった。窓からは海が見渡せて、時間が経つと夕空からゆっくりと夜が滲みだしてきて、そして辺りは真っ暗になった。この景色が見ることができるから18時厳守だったのだ。とても贅沢な時間を過ごすことができた。好きな人と、素晴らしい景色と、おいしい料理。この世の幸せをギュッと詰め込まれた空間だった。また機会があれば行きたい。

 

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食べ終えると部屋に戻って、イエローモンキーのライブチケットを申し込んで、その後は貸切の露天風呂に入った。サウナもあったけれど80度以上に設定してあってやめた。

部屋には木のお風呂があって、網戸だけになった窓からは海が見えた。小さいホテルだけれど清潔感があって、景色は綺麗だし言うことなし。ベッドには天井に固定された天蓋のような布が。セックスして、疲れ切って眠った。

 

朝日を見ようと思ったけれど気づいた時には朝の6時だった。とっくに太陽は空に昇って、辺りを照らしていた。うまく二度寝ができなくて、トイレに行ったり水を飲んだり。部屋に設置された木のお風呂にも入った。そこは窓が網戸だけになっていて、海と風と、しとしととひさしから滴る水音を感じることができた。気持ちよすぎてこのまま死んでもいいなとすら思えた。結局眠れずに11時にチェックアウトした時は頭はぼーっとしていた。晴天で、日射しが強かった。三島のTAMAGOYAというパンケーキとオムライスのお店へ。 着いてみると平日の昼間だというのに行列ができていた。女性が多く、働いている人というより、友達とのランチとか家族と来ている人が大半だった。暑かったから車の中で待とうにも限界があった(彼はケチだからエアコンをつけてくれない)。上からミストが吹きつける椅子にようやく座れてひたすら待った。

 

運ばれてきたオムライスをひとくち食べ、待ったかいがあったなと思ったけれどちょっと少なく感じた。

 

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トマトソースのオムライス。 

 

物足りなかったから、パンケーキを半分こにして食べようということで注文。

 

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やっぱりここのお店はパンケーキが絶品。ぷるぷるふわふわしていて、卵料理ってどうしてこうも魅力的なのだろう。しあわせを形にするとしたらこんな感じかもしれない。

2人とも大満足してお店を後にした。お土産にバウムクーヘンを買った(カステラが欲しかったけれど売り切れていた)。

 

2日、3日と満たされた2日間を過ごすことができた。彼に感謝している。

 

 

8/31

ショッピングモールの休憩所にある自販機で苺のチーズケーキ味のアイスを買い、食べた。読みかけの本をひらく。数行読むごとに頭はシャットダウンの準備をはじめる。眠れ、眠れとからだに命令を下し、わたしは自分の意思とは関係なく強制的にまぶたを閉ざされる。うつらうつらしているが意識はある。周りの音も遠くではあるが聞こえている。それなのにわたしは一瞬の夢を見る。自分が想像しようとして頭の中で描くものとは全く別のイメージが映像として流れる。夢という水面を、意識という爪先が入ったり出たりしている。ショッピングモールは灯りが眩しくて、時間の経過を見失う。ひとり、休憩所に来て椅子に座っては、またひとり来る。気づけば誰もいなくなる。そしてまたひとり来る。ひとの移動で時間が流れていることを知る。外は暑すぎるけれど、ここは寒すぎる。今日で8月最後だけれど、明日になってもずっと同じだ。