潮騒

日記

9/2 , 9/3

 

誕生日に彼と伊豆へ旅行に行った。恋人岬に行って、近くのホテルに泊まって、翌日は三島でオムライスを食べるというコース。電車で行こうか迷ったけれど結局彼の車で向かった。イエローモンキーのライブDVDを流してくれて、それを見つつゆっくり車は進んだ。海や、潮風や、灰色の古い建物や、パステルピンクやパステルパープルの古い旅館などにこころが刺激される。謎の配色。

 

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空は濃い雨雲を抱えて、途中で雨が降り出した。恋人岬で歩くの大変になるだろうなと憂鬱になっていたら、着いた時には晴れだした。

 

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日射しが雲間からのぞいて、光りのはしごがかかっていた。とても穏やかで波は立っていなかった。私たち以外にも恋人同士や、男友達同士で来ている人もいたし、バスツアーで訪れたお年寄り達もいた。とても景色が綺麗だけれど、鐘を鳴らすスポットやハート型に置かれた小銭が薄ら寒い雰囲気を醸し出していて、味があるなと思った。

鐘を鳴らすスポットに行くには階段のない急で小さな下り坂や上り坂を登って、長い階段を上がってようやくたどり着く。距離にすると短いと思うのだけど、歩いてる最中はいつ着くのだろうと息を切らして歩き、疲れてしまった(翌日筋肉痛になった)。

辿り着いた場所は絶景で、人気の観光地なのも頷けた。この景色に辿り着くまでの道のりだったんだとすら思えた。晴れてなかったら最悪だった。ちゃんと鐘を鳴らした。うるさかった。3回も鳴らさないといけない。

恋人岬で海を見に行く前に売店で恋人証明書みたいなものを発行してもらった。薄ら寒いアイテム第2弾。結婚するとここの売店から何かもらえるらしい。発行するために必要な書類を書く机の周りには様々な恋人たちの記念撮影の写真や、名前が書き込まれていて、もはやホラー、お化け屋敷、怨念の地だった。恋人岬に来た恋人と別れて、新しくできた恋人とまた恋人岬に訪れて名前を書き込んで、でも元カレ(元カノ)の名前も古いページには刻まれている(そういう人いそう)。蓄積した思い出と名前と想いが小さな狭い売店に漂っている気がしてちょっと寒かった。

その売店には猫の店長がいた。らぶニャンって言う名前らしい。店長はとてものっそりしていて穏やかなオスの猫だった。中にいるより外に出たいタイプの猫だった。気ままで自由で、みんなの人気者だった。

 

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人懐こいけれど、飽きるとすぐにどこか行ってしまう。どこの家でも猫は性格が似ている。毛並みやお尻の感じからして年をとっていそうだった。いつまでも元気でね。

 

チェックインの時間になりホテルの中に入ると中は南国風の雰囲気だった。木でできたカウンター、アロハシャツの店員さん、カウンターの横には南国風のワンピース(部屋着)がハンガーにかかって並んでいた。雰囲気とは違い、店員さんは静かで落ち着いた人だった。ディナーは必ず18時に間に合うように来てほしいということで部屋に案内され、15分足らずでディナーの場所へ。

ディナーを食べに来ていたお客は私たちと中年の夫婦一組だけだった。用意されたテーブルにはフォークとナイフが何本も並んでいて不思議だったけれど、運ばれてくる料理を食べ進めるごとに納得がいった。外から順にフォークやナイフを使うということを。よく見ると同じようなナイフでも魚料理の時と肉料理の時では刃先が微妙に違った。ひとつ勉強になった。

料理は、鯛やマグロのお刺身、ホタテとエビの前菜(エビがとてもねっとりしていて濃厚)、かぼちゃのポタージュ、パン、カレイのバジルソースがけ(初めてカレイを食べた)、ヒレ肉のステーキ、マンゴーのクレープ(アイスクリーム添え)だった。

お昼ご飯はおにぎりで済ませていたからかこれだけの量を食べきることができた。ひとつひとつがとても美味しかった。窓からは海が見渡せて、時間が経つと夕空からゆっくりと夜が滲みだしてきて、そして辺りは真っ暗になった。この景色が見ることができるから18時厳守だったのだ。とても贅沢な時間を過ごすことができた。好きな人と、素晴らしい景色と、おいしい料理。この世の幸せをギュッと詰め込まれた空間だった。また機会があれば行きたい。

 

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食べ終えると部屋に戻って、イエローモンキーのライブチケットを申し込んで、その後は貸切の露天風呂に入った。サウナもあったけれど80度以上に設定してあってやめた。

部屋には木のお風呂があって、網戸だけになった窓からは海が見えた。小さいホテルだけれど清潔感があって、景色は綺麗だし言うことなし。ベッドには天井に固定された天蓋のような布が。セックスして、疲れ切って眠った。

 

朝日を見ようと思ったけれど気づいた時には朝の6時だった。とっくに太陽は空に昇って、辺りを照らしていた。うまく二度寝ができなくて、トイレに行ったり水を飲んだり。部屋に設置された木のお風呂にも入った。そこは窓が網戸だけになっていて、海と風と、しとしととひさしから滴る水音を感じることができた。気持ちよすぎてこのまま死んでもいいなとすら思えた。結局眠れずに11時にチェックアウトした時は頭はぼーっとしていた。晴天で、日射しが強かった。三島のTAMAGOYAというパンケーキとオムライスのお店へ。 着いてみると平日の昼間だというのに行列ができていた。女性が多く、働いている人というより、友達とのランチとか家族と来ている人が大半だった。暑かったから車の中で待とうにも限界があった(彼はケチだからエアコンをつけてくれない)。上からミストが吹きつける椅子にようやく座れてひたすら待った。

 

運ばれてきたオムライスをひとくち食べ、待ったかいがあったなと思ったけれどちょっと少なく感じた。

 

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トマトソースのオムライス。 

 

物足りなかったから、パンケーキを半分こにして食べようということで注文。

 

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やっぱりここのお店はパンケーキが絶品。ぷるぷるふわふわしていて、卵料理ってどうしてこうも魅力的なのだろう。しあわせを形にするとしたらこんな感じかもしれない。

2人とも大満足してお店を後にした。お土産にバウムクーヘンを買った(カステラが欲しかったけれど売り切れていた)。

 

2日、3日と満たされた2日間を過ごすことができた。彼に感謝している。