潮騒

日記

10/25

 

めずらしく晴れたある日。横断歩道を渡った先にある一軒家が、壊されていた。正確に言うと、家の外壁や柱は残されたまま、屋根の瓦がすべて剥がされ、雨戸なども取り払われ、家の中が剥きだしの状態になっていた。畳も剥がされて、狭い縁側のほうに厚く、ミルフィーユみたいに重ねて置かれていた。建て直すのか、ただ壊すのか。理由はわからないけれど、立派な一軒家があんな風になってしまうのを見るのは、すこしせつない。2リットルくらいはある大きな水のペットボトルが数本置かれていて、よく見ると家を壊す作業をしている外国人が休憩していた。1人は屋根の上で足を伸ばして休憩していた。なんとなく目が合ったような気がして気まずかった。光が射さない、真っ黒い瞳をしていた。中の物をすべて掃き出したら、家を壊すのだろうか。今日は雷と雨が続いている。剥きだしにされた家は今ごろすべての雨を吸い込んで、濡れているんだろう。厚い畳も、瓦も、濡れてしまって、色を変えているんだろう。