潮騒

日記

7/16

 

7月に入っても生活は変わらず単調な毎日。感染予防をして、休日はしっかり家にこもり(超インドアだから負担はない)、たまに出かけても県外に行かないように範囲を狭くして、いつか絶対終わるだろうと信じて。マスクをする以外で負担を感じることは最初の頃より少なくなった。マスクをしてない人に対しても嫌な気持ちになることは少なくなった。自分が気をつけていればいいという気持ちの余裕が少し出てきた。それでも連日のニュースで感染者が増えていると聞くと怖くなる。この先どうなってしまうのか、見えないまま。

 

良いニュースもあった。ネットで注文した荷物を届けてくれた人が同級生の母親だった。再婚をしたと言っていた。初恋の人と。人それぞれにドラマがあるんだなと思った。おめでたいニュースで嬉しくなった。

 

買ったきり読んでいなかった北杜夫の「夜と霧の隅で」という短編集を読み始めた。 本を読む習慣を取り戻したい。

 

 

6/1

 

6月になった。5月なんていつ来たんだ?というくらい4月よりスピードが速かった。単に私の生活がものすごく単調で生産性の乏しいものだったからかもしれないけれど。緊急事態宣言が解除されて、美術館に出かけられたことは嬉しかった。けれど、人に近づかないように歩みを遅くしたり、密集を避けようと歩みを速くしたり、せわしない鑑賞になってしまった。当たり前だけどどこにでも人は居る。人嫌いにならない程度に、節度を持って接しようと心がけているけれどやっぱり疲れる。今回の件でもともとパニック障害うつ病だった人の症状が再発しているケースが多いとニュースで聞いた。再発だけでなく発症している人も増えているだろうなと感じた。私自身は、天気と比例して色々と不安定になっている。

 

小説を2月から読み始めてまだ読み終わらない。今月中には読んでしまいたい。

 

 

5/9

 

宵闇が近づく。窓は少し明るく水色だった。水色の光りだけがぼんやりと視界に映って、部屋は暗く、私は横たわって疲れた体をやすめていた。毛布のやわらかさで安心する。10何年も前の、中学生だった頃の自分の感覚が現在の自分とぴったり合わさって蘇るような心地がしていた。引きこもり生活をしていた頃の自分。人間が嫌で何もかも塞いでいた自分。大人になんかなれない。現実みたいな夢を見た。鈍く頭痛がして体が重くなった。雨が降るのかもしれないと思った。

 

5/6

 

帰り道。夜。誰もいない道でマスクを外した。清々しくて泣きそうになった。ツツジが花びらをいっぱいに広げて咲いている。白いのと、ピンク色の。自動販売機の眩しさに惹かれてアセロラジュースを買った。100円。キャップを開けて飲んだ。これも久しぶりにした事。雨で顔が少し濡れていくのを感じた。雷が遠くでチカチカ光っていた。音は聞こえない。傘を広げて、また閉じた。空は灰色の雲にアセロラジュースを混ぜたみたいな色をして不気味だった。土をこすりながら歩く自分の靴音が響いて、目の前の横断歩道ではカップルが自転車の2人乗りをして渡って行った。そんな楽しそうにしてどこへ行くんだろう。使っているバッグが自分の体型に合っていなくて、捨てようかなと思いながらそのまま歩き続けた。

 

 

5/4

 

埃かぶって地層のように積み重なった本たちをまるごと掘り出して、ぼろぼろになったアルバムや教科書なんかをまた奥に仕舞ったりした。記憶も積み重なって沈んでいた色んなことが様々に蘇ってきて邪魔くさかった。覚えてるものなんだなって。普段は意識しないからぽっかり忘れてしまっている気がしているだけなんだ。スコップで掘れば、ちゃんと存在している。邪魔くさい。でもぜんぶ捨てることはできなかった。また仕舞う。捨てたいものって案外少ないのかも。

 

 

4/24

 

風が強すぎる。朝はひんやりとして、昼は暖かく、夜になるとまたひんやりする。辺りは次第に群青色に染まる。音楽を鳴らす。誰かが亡くなっても身に迫ってる実感が無い。実感が無いのにひたすら予防して、働く以外はひたすら家に居なくてはいけない。この行動が、きっと誰かの為になる、自分の為になると信じて。信じていても、悲しいニュースしか流れない。それはいつものことだけど。いつものことだから麻痺してくる。笑い話なんかには成らない日々。必要な試練しか与えられないのだとしたら、これも必要なこと?

 

 

4/21

 

Amazonプライムビデオで映画「愛を読むひと」を観た。ハンナ役のケイト・ウィンスレットの裸がとても美しくて見惚れた。原作の「朗読者」を読んでいたから大体の内容は知っていたけれど、やはりこういう問題は簡単に自分のなかで答えがでない。犯罪、愛、人生。男女の人生を描いた映画として観るにはあまりに重すぎる。また時間があるときに観返してみようかな。個人的に好きなシーンは、少年のマイケルがハンナの部屋に行って、お風呂に入れてもらえてにんまりと嬉しそうにしているところ。

 

愛を読むひと(字幕版)

愛を読むひと(字幕版)

  • 発売日: 2018/01/12
  • メディア: Prime Video