潮騒

日記

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年が明けてしまっても、もうわたしの中に日付けなんてものは無くてずっと地続きの日々。カレンダーを埋めても、何も埋まらないものは確かにあるってもっと早く知りたかった。永遠にこんな状態のような気がして寒気がして、彼との電話も早々と切った。まったく優しくなれない。それも自分だと思うことでしか自分を保つことができない。ぬるい環境に身を置きすぎて緊張感のないたるんだ頬を引っ張る。

 

小川洋子の「密やかな結晶」を読み始めた。自分の住んでいる島から次々と、物やそれにまつわる記憶が消滅していく話。忘れてしまっても自分のなかに確かに残るものがあると信じているけれど、それはとても不確かなものだ。感触は無くさないでいたい。わたしの中を通り過ぎていく傷。わたしを少しずつ歪ませて、作り出していく傷。確実に刻み込まれる傷。